前回のブログの被扶養配偶者に関連して補足です。
新規で国年第3号被保険者に該当する場合の委任状ですが、単独の委任状である必要性は有りませんね。
被扶養者の報告・申告書の1項目として委任する事の明記が出来れば足ります。
しかし、被扶養配偶者に対する利用目的の明示文書を別出しにするか、その報告・申告書の一部に記載するかは考えどころです。
出来れば報告・申告書の一部として、目的の通知も併せて行った事が書証として残るようにすると効率的ですね。
ちなみに社労士向けには、東京都社会保険労務士会の資料はその形式のサンプルが掲載されています。
従業員さんに対しては就業規則等に明記して周知する事で包括的同意となると考えられますが、説明会で皆さんから説明を受けた旨、署名を残せばより確実ではないでしょうか。
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被扶養配偶者や被扶養者のマイナンバー取得の注意点
被扶養配偶者や被扶養者のマイナンバー取得関係について、質問を受けて整理しました。
基本事項として、マイナンバーを記載する書類を提出する場合、本人が提出する時は委任状は不要。誰かが代行する時は委任状が必要です。
例えば厚生年金適用事業所の場合。Aさんが従業員とします。Aさんの配偶者とご家族などが既に被扶養者として登録されている場合は、被扶養者のマイナンバーを事業主に届け出るのはAさんの義務となります。この場合配偶者等からの委任状は不要です。Aさんが新たに配偶者を得た場合等で、被扶養配偶者として第3号被保険者(国民年金)に種別変更の手続が必要な場合は、原則はその被扶養配偶者ご自身が種別変更の届出義務があるので、Aさんの配偶者はAさんを事業主さんにマイナンバーを「提供」する受任者として委任状を提出しないと事業種が手続を代行することが出来ません。
既に被扶養者なのかこれから新規なのかで手続が異なるということです。理由は手続をする人かそうでないか、被扶養配偶者は本来は配偶者自身が第3号被保険者への種別変更をしなければならない、と言う2点に有ると言えるでしょう。
マイナンバーでの源泉徴収票関連のおさらい
マイナンバーが実際に運用(内閣官房のサイトでは「利用」ですが、ここでは運用としておきます)を開始するのは平成28年1月1日からです。
本年(平成27年)の源泉徴収票などではマイナンバーは無関係です。
でも来年(平成28年)1月1日以降の退職、雇用の際にはマイナンバーの事業主への通知が必要となります。
だから、今年の年末調整(扶養控除等申告書などを出してもらう)のタイミングで従業員さんのマイナンバーを本人確認&収集して準備を進める事は労使共に手間が省けてメリットだと思います。
1月1日時点の住所等の確認を行う場合の際でも良いですが、特に退職される方が直後にいらっしゃる場合はタイミングが難しいですね。
前提として、マイナンバーの収集(本人から)・保管・利用・提供(他者へ)・廃棄の手段・方法、業務フロー、監査等は別途、良く吟味してくださいね。
ご注意!
期間の定めのある雇用契約で「来年に雇用契約の終了を予定している従業員さん」に対して、上記の各種情報を収集する時は、その雇用期間中の必要の為と明示すべきです。
でないと「契約期間の更新の合理的期待」を抱かれたとしても反論が困難となります。
会計検査院の調査のニュース(未適事業所)に関連して
本日10/27のニュースに、「会計検査院が厚労省と日本年金機構に対して、立ち入り検査すると予告した厚生年金保険への加入逃れの疑いがある中小の事業所に対し、速やかに立ち入り検査を実施するよう求めた。」とありました。対象となった事業主さんもそれぞれ事情は有るでしょう。でも適法・遵法に事業を行わないと、その事業者さんの未来は開けないでしょう。コンプライアンスに問題がある事業者さんとお付合いする事は、大変にリスキーで取引を拡大して貰えなくなります。取敢えずは加入手続を進める事が先決ですが、どのようにしたら適法に支払えるかと言う観点からも、福利厚生や労務・人事制度などを抜本的に見直す必要があるのではないかと思います。
国民年金の後納保険料制度について
過去10年間に遡っての保険料を納付出来る後納制度は本年9月30日をもって終了しました。
でも、5年間遡って納付出来る後納制度が、10月から始まりました。
色々な事情で未納となってしまった方々がいらっしゃいます。
免除申請などの手続も無年金や低年金額への対応方法の一つですね。
この後納保険料制度も是非、選択肢の一つとしてご検討頂けると良いと思います。
遺族共済年金(旧名称)の転給制度のご注意
遺族共済年金(旧名称)の転給制度はこの10月から廃止となりました。この9月以前に既に受給されていて10月以降も継続して受給されている場合でも今後は転給とはなりません。10月以降の新たな権利関係の変更だからです。ご注意をお願いします。
年金関連情報の漏洩事故のフォローに付いて
日本年金機構から情報漏洩事故の対応として、通知が出ました。事業所の従業員さんで漏洩の対象者と成ってしまった方がいらっしゃる場合です。この方が一元化後の厚生年金の被保険者等の場合には、事業主さんに旧の年金番号が新の何番の年金番号と成ったかの通知が届くそうです。対象者さんが自ら事業主さんに申し出る手間や忘れ防止には良いですね。後は新たな漏洩リスクが生じないようにきっちりと手順を設計して関係者全員に周知徹底して遵守して頂くことをお願いしたいところです。トラブル対処は往々にして視野が狭くなって、影響やリスクの読みが甘くなることが多いですから。「清廉、誠実で」(笑い)トラブル対処と対策実施の経験が豊富なコンサルタント等が付いていると良いですね。
被用者年金一元化での在職老齢年金の支給停止解除について
被用者年金一元化での在職老齢年金の支給停止解除は、従来の厚生年金被保険者の方は、本年9月までは退職日の翌日が属する月の翌月でした。つまりある月の末日退職だと、その翌月はまだ停止したまま。翌々月からやっと支給停止が解除でした。この点は従来は苦情も結構あったとか。でも年金一元化の改定で、退職日の属する月の翌月から停止解除と成りました。つまり退職したら翌月からちゃんと年金額が改定されますね。但し、改定後の支払月から改定後の額が支給です。
「じゃあ頑張ってね」という言葉の「こわさ」を改めて
今週もバタバタと過ぎて行きますが、そんな中でケースを振返って改めて感じたことをお伝えしたいと思います。但し実話が辿れないよう手を加えておりますのでご了承願います。
ある事業場での夕方の事です。慢性的に人手不足の、どこにでも有りがちな職場です。Aさんは未だ若手ですが職場内でもトップクラスの優秀で真面目な人柄です。
Bさんは翌日が休みのシフトなので楽しそうに帰り支度を手早く済ませ、その日の同じ日勤のAさんに向かって「私は明日は休み。あなたは明日は朝番からね。じゃあ頑張ってね。」と声を掛けて帰りました。ここまでは普通の話。
Aさんはその後、沈んだ様子で動けません。先のやり取りとその様子を見ていた副課長のCさんは「Aさん、どうした?大丈夫?」と声を掛けました。
Aさんは何も答え「られ」ずに、帰り支度をして帰って行きました。
そうです。Aさんは「「心の障がい」を持っているのです。それは課長と副課長のCさん達ごく一部の人しか知りませんし、勿論Bさんも知りません。
Cさんはそれを知っていたから、Aさんの様子の変化に気が付いたのです。
Cさんは今日も残業です。AさんからCさんにメールが届きました。Aさんは誰よりもCさんを信頼している様です。
内容は「私(Aさんの事です)はもう一杯一杯で頑張っているんです。そんな私にこれ以上頑張れって言うんでしょうか?休みでゆっくり出来る人が、一杯一杯の人に更に頑張れって言うんでしょうか?」
それは悲痛な魂の叫び声でした。
いろいろなところでボタンの掛け違いは生じますが、修復はなかなかに難しい。
先ずはその人の「思い」を受け止めて・・・。
私(藤田)レベルの社労士では、このようなケースの救援要請に対しては、組織的、制度的、社会保障的側面からの遠回りな支援が限界と感じています。
「ダイバシティ」がもっともっと広く一般に認知され、実体化されれば、悲痛な思いをする人もどんどん減ると思います。
企業サイドでは職場復帰サポートプログラムの整備拡充が進みつつあります。
一歩一歩でも進めて行ければと思います。
ある学校の課外授業をサポートして感じた事
先週末にある学校の「労働と社会保険など」に関する課外授業のサポートをさせて頂きました。
(余り具体的な事は記載出来ないのでご了承下さい。)
テーマは働く意義、ホワイト的な企業とブラック的な企業、給与から控除される保険料など、翌週から始まる職場体験授業に向かってのマナー、経済と道徳の関係などです。
結果はとても良かったと言えると思います。
生徒さんたちは皆さん真剣に聴講してくれて、いわゆる「授業にならない」などと言う問題は皆無でした。
広い施設を使用して2時限(2コマ)の授業でしたが、その施設への入場から最後のご挨拶までとてもきちんとした態度行動でとても素晴らしかったです。
終了時のアンケートでもテーマが適切に伝わったことが感じられ、もっと知りたいと言う要望も多く寄せられました。
そして責任者の先生から「来年も宜しくお願いします!」とおっしゃって頂けたこと。
今後の課題としては、やはり2時限ではとても伝えきれないことが山ほどありシリーズ化とかを検討する必要が有りそうだということ。
人として「当為」を考えるうえでも、自助、共助、公助の概要なども今後テーマ化したい内容だと思いました。